授業書《爆発の条件》で,化学反応式を机の上などでたのしむ工夫

イッセイです。原子モデルを使って物質が化学変化している様子をイメージ豊かにしたいとの工夫です。

目次

授業書《爆発の条件》は,化学反応をイメージするための授業書です

仮説実験授業の授業書《爆発の条件》は,爆発という特別な現象を利用して化学反応についてイメージを膨らませていこうという授業書です。

そのために,現在オススメしているのは,ボンテンを利用して化学反応を机で起こしてしまう方法と,掲示物を利用して化学反応を黒板で起こしてしまう方法です。

ボンテンで化学反応を机の上でおこしちゃいましょう!

ボンテンは,ふわふわした球で,もともとの色は白だけです。手芸店などに売ってあるそうです。

仮説社では,ボンテンを,授業書《もしも原子がみえたなら》に合わせて染めたものを販売しています。しかも,あるていど原子の大きさにあわせたボンテンになっていますから,私は仮説社で購入しています。

そんなボンテンを染めたものを利用して,「赤を酸素原子に,黒を炭素原子に,白を水素原子にみたてていきましょう」というわけです。

ボンテンをつかった分子模型は,『たのしい授業 2008年10月号』に吉田久美子さんが発表された「ふわふわ分子模型バッジと分子模型指輪」が最初だと思います。この論文は,『ものづくりハンドブック9』という書籍に収録されています。

ものづくりハンドブック9
Think of Bonten as an atom
赤,黒,白のボンテンを紙コップに入れて配ります

紙コップにボンテンをいれて配ると,生徒に配るのが楽です。

生徒に配る紙コップには,黒4つ,白10こ,赤13こが最低入っているようにしてください。赤は多めがいいと思います。

また,数年授業していると最初に入れていた数とちがってくるようになります。そこで,補給用のボンテンを袋に入れて用意しておくと授業の時に慌てなくてすみます (^ω^)

Think of Bonten as an atom
ブタン分子と酸素原子

まずは,白と黒をだして,ブタンを作ってもらいましょう。

「黒を4つ出します。両端の炭素には白の水素を3つつけてください。間の炭素には2つつけてください」と話しながら生徒の机の上をみて回ります。

「ブタンができたら,酸素原子をたくさんだしましょう」

「ブタンをつくっている原子をつかって二酸化炭素と水にしていきましょう。まずは炭素原子です。炭素原子を2つの酸素原子ではさむと,二酸化炭素になります。次に水素原子です。2つの水素原子と1つの酸素原子をつけると水になります。これをブタンを作っているすべての原子でやってみてください」

こうして,ブタン分子が分解していって,生徒の手による連鎖反応が進み,水と二酸化炭素にすべて変化していきます。机上で化学反応が進むわけです。

Think of Bonten as an atom
反応が終わりました

「すべてのブタンの原子を反応させたら,できた二酸化炭素の数と水の数をかぞえておきましょう」

「余分な原子が机に出ていたら,紙コップに戻しておいてください」

「数え終えたら,炭素原子と水素原子をつかって,もう一度ブタンを作ってみてください」

こんな声をかけながら,生徒の机の上を見て回ります。

Think of Bonten as an atom
再びできたブタンと,酸素原子たち

この作業をすると,再びブタンができあがります。そして,ブタンの原子たちと反応していた酸素原子が残ります。

最後に,酸素原子たちをつかって,酸素分子をつくっていきます。

Chemical reaction formula using atomic model
ブタンと反応する酸素分子

すると,ブタン1こと反応する酸素分子の数は6こと半分ということがわかります。

ボンテンを使って細かなことをする理由

ボンテンを使って化学反応式をつくるなんて,化学式を見たらすぐに化学反応式を作れる子にとっては邪魔な作業でしょう。でもそんな子は,めったにいません。ほとんどの子は「分子と原子ってどうだったっけ」ぐらいだと思います。

高校入試問題などを見ていると思うのは,「入試問題になるほどに間違いやすく,理解されていない」という事実です。つまり,ほぼすべての子にとって「化学反応式は,なんだかよくわからないけどテストに出るもので,よく間違えてしまう嫌な奴」でしかないと思います。

しかし,化学反応式はそんな「憎き奴」のままでいいのでしょうか。

「化学反応式って,とっても役に立つこともあるんだなあ」って思ってもらいたいという願いを込めて作ったのが授業書《爆発の条件》です。

そして,《爆発の条件》でそこをクリアするために私は最初,紙粘土を丸めてつくった原子モデルを使っていました。ふわふわしてなかなかいいできではあったのですが,なにしろ紙粘土をこねただけです。大きさがまばらでしたし,生徒一人一人に配るためにたくさん丸くこねるのは大変でした。

そんなときに登場したのがボンテン分子模型です。さっそく原子モデルをボンテンに切り替えて授業をするようになりました。

ボンテンで授業をするといいことがあるんです。

〈化学反応式の係数と,化学式の数字がごっちゃになっている子〉が減るはず

「化学反応式がわからない」って言っている子は,〈分子の前についている数字〉と〈分子の中についている数字〉がごっちゃになっていて区別がついていない場合がほとんどです。

〈分子の前についている数字〉は,「その分子が何こあるかだよ」ってボンテンだったら一発で示せます。

そして,〈分子の中についている数字〉は「分子をつくっている原子の数だよ」ってこともわかることでしょう。たとえば「水素原子2こと酸素原子が1こついたものが水分子だ」と。

ボンテンでやっていてもなかなか原子と分子がしみない子がいます。でも,その子にボンテンで教えていなかったらどうなっていたことでしょうか。きっと「化学なんて大嫌い!」になっていたことでしょう。大嫌いではなく,やってみようかなって思ってもらいたいと願っています。

机上で化学反応を手作業でできる

生徒は意識せずに,ボンテンでつくったブタン分子を分解して,水分子や二酸化炭素分子にしていることでしょう。でも,この作業は,「ブタン分子は分解しないと水分子などになれない」ということを実感するものでありますし,実際に起こっている反応:素反応を原体験として味わうことになるのです。

ブタンが燃える時,ブタンと酸素が一斉に集合してドーンと水や二酸化炭素に直接なるわけではありません。ブタン分子はすこしずつ分解していきながら,さまざまな中間段階を経て二酸化炭素や水になっていっています。

その一つ一つの細かな中間段階を素反応といいます。

素反応とは,連鎖反応をしていっているときの,一つ一つの反応ともいえます。つまり,授業書《爆発の条件》の第2部の内容の伏線ともなっているのが,ボンテンでの作業ということになります。

黒板で化学反応を進めましょう

生徒の机上にあるボンテンを見ながら,黒板で進めていくための掲示物です。

A4に印刷して,ラミネート加工します。そして,その原子モデルをハサミで切り取り,裏にマグネットをとりつけると完成です。

Carbon atom, oxygen atom and hydrogen atom
原子モデル
Magnet to be attached to the back of the atomic model
磁石

磁石は1つ貼り付ければ,黒板にバッチリくっつけることができます。

黒の炭素原子モデルを8つ,赤の酸素原子モデルを26こ,白の水素原子モデルを16こ以上作れば,化学反応式を黒板に作ることができます。

原子があまりなく反応していることを黒板でも示しています

Chemical reaction formula_1
ブタンを原子モデルで作り,酸素原子をたくさんだしたのが左。右は,ブタンを原子にバラバラにしたところ。

黒板の左右2箇所に,原子モデルを使ってブタン分子を作ります。

ブタン分子の作り方を大声でとなえながら作っていくとよいでしょう。

間にはたくさんの酸素原子を並べました。生徒の机の上のスタートと同じです。

Chemical reaction formula_2
左は反応を終えました。右も同じように反応させます。

大部分の生徒が机の上で作り終えたら,「炭素原子を酸素原子2こではさむと二酸化炭素」「水素原子2こに酸素原子1こで水」などと言いながら黒板でも反応させていきましょう。

反応したら,二酸化炭素が4つ,水が5つできました。余った酸素原子は黒板から外します。

右側も同じように反応させます。

Chemical reaction formula_3
左右とも反応を終えました

「左右とも同じだね」というのを確認してもらいます。

続いて,左側の原子たちからブタンを作ります。

Chemical reaction formula_4
左側を元に戻します

残った酸素原子を使って酸素分子にしていきます。

Chemical reaction formula
化学反応式の完成です

こうして,二酸化炭素と水に変化したことを示す化学反応式ができあがりました。

しかも,原子のあまりなく反応したことをきっちり示せました。