授業書《爆発の条件》の開発において発明した,石松子を用いる粉塵爆発の演示法

イッセイです。石松子を用いると安全に安定して粉じん爆発の演示をすることができます。画期的だと思っています。

目次

石松子(せきしょうし)で粉じん爆発

石松子(せきしょうし)を用いると粉じん爆発の演示を容易に確実に行うことができますので,オススメです。

石松子とは

石松子とは,石松の子という名前です。

本草図譜(005-81)に石松の絵があります。石松とは,ヒカゲノカズラというシダのことです。

Lycopodium
ヒカゲノカズラ

つまり,ヒカゲノカズラの子が石松子です。

子といっても,胞子のことです。

胞子は育ってシダになるのですから,たしかに子です (^ω^)

このヒカゲノカズラの胞子を集めて色をつけて売ってあるのが石松子です。

sekisyousi
石松子

山からヒカゲノカズラをとってきて胞子だけを集めたというのですから大変な労力です。

sekisyousi
石松子

顕微鏡で見てみますと,30μmの大きさの粒です。

表面に凹凸があるので互いにくっつきません。指で触るとすべすべします。

石松子を何のために売っているの?

石松子は,花粉増量材としてJAなどで購入することができます。もちろんアマゾンでも。

果樹の場合,人工授粉をする必要が出てくる場合があります。たとえばキウイを受粉させたいときにキウイの花粉を大量に集めるのは大変です。第一,1個の花粉が1つの胚珠につけばいいのですから,むだにたくさん集める必要もありません。そこで,増量するために石松子を使おうというわけです。

そして,どれに受粉させたかがわかるように色をつけてあるわけです。

粉じん爆発の演示の仕方

set

まず,机にアルミホイルを敷きます。

こぼれた石松子の始末をつけやすいように,万が一にも机が燃えないように,という意味です。

燭台の上に小さなロウソクを立て,火をつけておきます。

ロウソクに底を切った2Lのペットボトルをかぶせます。

すると,ペットボトルの中はほとんど密閉空間となり,粉じん爆発が起きやすくなります。

ペットボトルの口から,おたまをつかって石松子をハラハラと一気に落とします。

Dust explosion

すると,ボシュっと一気に石松子が燃えます。

粉じん爆発の演示をするときの注意

基本的には安全です。でも,注意も必要です。

まず,生徒は最低でも1mは離れて見るようにしてください。くれぐれも,「生徒が,演示を行なっているテーブルに両手を乗せ,その上に顔を乗せてみている」などということがないようにお願いします。

いつ何が起きるかわかりません。安全には十分に配慮をしてください。

演示のコツ

おたまで石松子をペットボトルに入れるときに,実はコツがあります。

「これぐらいでいい」と思ったら,手をひねっておたまを注ぐのと逆の方に回転させるのです。

すると,石松子の流れを断つことができます。

このひねって切るというのはとても大事です。

もしも,石松子を注ぎながら,びびって単に後ろにおたまを引くとします。すると,火がおたまを追いかけてきます。

びびったのに,さらに怖いことになるわけです。

ひねって切るという動作を練習して覚えておいてから演示をしてください。

石松子を誰かに振りかけてそこに引火するなんて恐ろしいことは絶対に起こしてはいけませんから。

ファラデーも石松子を演示に使っていました

   ファラデーの『ロウソクの科学』(矢島祐利 岩波文庫 1933年)という講演記録に,ファラデーが演示に使っている記述を見つけました。

  これは石松子というものです。この一つ一つの微粒子は蒸気を発生して炎を立てることができます。しかしこれが燃えるところを見ますと全体で一つの炎のように思われます。今これに少し火をつけてみますからよく見てください。それはひとかたまりに見える火の雲です。しかし燃えるときパチパチという音がするのは[燃えるとき生ずる音をさして]燃焼は決して全体として一様におこなわれているのではないことを示しています。芝居ではこれをいなずまに使いますが,たいへんうまく行きます。

『ロウソクの科学』(矢島祐利 岩波文庫 1933年)

昔から演示に使われていたのが石松子であったというわけです。