イッセイです。生徒に言われて練習問題を作ってみて,しみじみと思いました。
目次
科学のお話をまとめて感想を書くという問題
私は,試験の時に「お話をまとめる」「お話の感想を書く」という問題を出しています。
両方ともやっている理由は,自分の意見を書くのがとても苦手な子がいるのは知っていたからです。
そこで,「まとめる」ほうには感想を書かないようにと指示をするようにしています。
そして,「自分の気持ちなどを書くのは,片方の感想を書く方に書いてね」としています。
感想を書くのが得意な子は,感想だけでも書いてくれるかもしれません。
感想を書くのが苦手な子は,まとめる方だけでも書いてくれるかもしれません。
不得意なりに,両方ともに取り組んでくれる子は,いずれ経験値が上がり,上手になっていくことでしょう。
そんな計算からです。
ところが,最近「どうやって書いたらいいかわからないので,お手本を見せて欲しい」という要望が生徒からありました。「わかった,やってみるね」で練習をしてもらうことにしたのです。
そこで,「実験,実験,また実験」を全文引用して,その後にまとめかたと例と,さあやってみようをつけたものを作ってみることにしました。
配ったプリントの内容
まとめかた
- 全体を読む
- どこに印象深く思ったのか考えてみる
- 印象深い所を中心に、全体の流れも表現できるように構成を考える(構成を考える:自分なりの見出しを並べて書いていくなど)
- 書き始める。
- となりとなりと、続けて書いていく。
- 語尾を統一し、全体の印象も整える。
ここでは,「まずは全体を読んでみてね」ということから話し始めました。
明らかに読んでいない子がいるのは知っていたからです。
構成を考えるといっても,なかなか理解できないのではないかなと予想して,「自分なりの見出しを並べて書いていくこと」と追記しています。
小見出しは「お話」にもともとついています。でも,多くのお話には小見出しはついていません。
また,「もともとついている小見出しが自分に印象深いものを忠実に表していない場合が多いはずだから,自分で印象深いところの小見出しを書き並べていきましょう」と話しました。
最初は「です・ます」で書いていたのに,最後の方では「である」調で書いていたりします。語尾を整えたりしましょうということも話しました。
注意点
印象深い所は個々人さまざまなので、取り上げる部分も個々人ちがってよいです。
でも、全体の流れはとらえておくことによって、理解をしていることは示さなくてはいけません。
どんな小論文でも、最後の行まで書くようにしましょう。ただし、制限を越えると、採点すらされないことが多いので注意が必要です。
与えられた文量から明らかに足りないのもいけないし,越えるのもいけないことを意識して伝えました。
推敲をしましょう
書き終えたら読み直しましょう。
気になるところや、わかりにくいところがきっとみつかることでしょう。
少しずつ自分が気持ちよくなるように整えていくと、よりよくなります。
入試の課題の小論文だと、時間配分も気にしましょう。
制限時間を、(1)書きたいことを書きだす(2)どういう順番に書くかを考える(3)書きはじめる(4)文を推敲して整える、の4つに分割しておくとよいと思います。何回もやって経験値を上げると「自分はどの部分にどれぐらいの時間が必要となる」ことがわかってきます。入試の場合は、しっかり経験値を上げておきましょう。
「いきなり書き始めてはいけません」「最初の文がとっても大事ですから,何から書き始めるかをよく考えましょう。最初の文に失敗すると最後まで書けないし,最初の文に成功したらとなりとなりと書いていったら最後まで書けます」ということを口では語りました。
イッセイによる200字まとめ
真空の有無を巡る論議の決着をつけるためには実験が必要であった。そこで、ゲーリケはまずビールだるの中を真空にしようと試みた。しかし、失敗ばかりだった。幾多の失敗の後、銅の球を使って中を真空にすることに成功した。さらにガラス球の中を真空にすることによって、真空の性質を調べていった。皇帝も参加する会議では、馬16頭を用いた大掛かりな実験を行い、みなを驚かせた。ゲーリケは世に真空の存在を知らせたのだった。
この例文によって「どのようにまとめたらいいのか」が多くの生徒に伝わったようです。
200字にまとめる練習をしてみましょう
あらかた説明したのちに,実際にまとめるという練習をしてもらいました。
- まずは全体を読んでみましょう。
- 箇条書きにしてみましょう。
- 200字に書いてみましょう。
- ぜひ推敲までやってみましょう。
この授業を実施していた中で
直接,複数の生徒さんから「やっとわかった」「初めて書けた」という喜びの声が聞こえました。
なかなか普段反応しない子たちが,直接,実施の最中に,反応してくれたのです。
これは,かなりよい!ということなんだなと思えました。
そして,まだ見つけきれていない段階が複数あるように感じています。
たとえば,「自由に描いてみて」と言われて,何をどう書いたらいいのかわからない子が戸惑っているような,そんな感じです。
「どのようにして段階を発見し,それを克服していくのか」を研究していこうと思っています。