体細胞分裂を,発芽したネギで観察しました

イッセイです。発芽したネギのタネを使って体細胞分裂を観察してもらっています。

体細胞分裂を生徒に観察してもらうために

半間秀博さんの「実験・観察のページ(277)体細胞分裂の観察を確実に行う簡易染色法と材料の条件」を引用して,体細胞分裂の観察を続けています。

この方法の利点は,おもに以下の3点でしょうか。

  • ネギのタネを発芽させることにより,たくさんの材料を得ることができる
  • 酢酸ダーリア液と塩酸を混ぜた液を調合し,固定・染色・解離を同時に行うため短い時間で染め上がる
  • 短時間での簡単な作業で,美しい分裂像を観察できる

ただし,体細胞分裂を観察しようとしたらつきまとう難点は,この方法にもつきまといます。それは,以下のことかなと思います。

  • 生徒は観察を初めて行うため,何が何やらわかっていない
  • プレパラートを作るのが,そもそも難しい
  • できあがったプレパラートを探しても,何をみたらいいのかわからない

この難点は,授業者がなんとか力技(徹底して机間巡視をしてすべての顕微鏡に分裂像をいれていく)ことでやっていくしかないかなと思っています。

そのためにも,「簡単な作業で,美しい分裂像を観察できる」というのは,とても貴重な利点です。

体細胞分裂を観察するためには,まず,材料の調達から

体細胞分裂を観察するために,ネギのタネを発芽させます。

播種して3日後の,ネギの発芽

タッパーに脱脂綿をしき,ひたひたになるぐらいに水を入れます。

脱脂綿の上にネギのタネを蒔き,フタをします。タッパーは明るい室内においておきます。すると,タネが発芽してきます。

発芽してから3日後(気温などの条件にもよります)ぐらいがちょうどよいので,実験に使いたい日から逆算してタネを蒔きます。

たとえば,「7月3日に使いたいな」という場合の3日前というのは,7月1日と思いがちですが,違います。6月30日に蒔いてください。気温によっては成長が遅かったりすることでしょう。よって,6月29日と30日の二回蒔くのがよいと思います。

5日たって20mmを超えて成長したタネは,固くなってしまっていて,材料としてダメですから注意してください。

授業の際には,まずビデオから

NHKのビデオなどをまずは生徒に見てもらいます。早送りしていますから,実際には1時間ほどかかっているのだということは補足しておきます。

その上で,細胞分裂のプリントに分裂の模様と名称を記入してもらって,「今からこんなことを観察するんだな」と思ってもらうことにしました。

「今から体細胞分裂を観察してもらいます。ただ,今のビデオのようには動きません。なぜなら,今からネギの細胞を殺すからです。今の瞬間のときにさまざまな時期の細胞がいます。それを探してもらおうというのが今回の趣旨です」などと話しています。

ネギのタネを染めます

手順を上の図に示しました。

まずは染色液を作りましょう。

時計皿に染色液を調合します

時計皿は,真ん中がくぼんだガラスの薄い皿です。

スポイトで1mol/Lの塩酸を3滴,酢酸ダーリア液を7滴たらして混ぜると完成です。

発芽したネギのタネを入れて12分間待ちます。

ビーカーの水にタネを入れたところ

時間になったらビーカーに入れた200mlの水に入れて,2分間待ちます。

この作業が終わったら,固定(細胞を殺す)・染色(染色体に色を付ける)・解離(細胞どうしをばらばらにする)を同時に終えていることになります。

タネを水からとりだしてスライドグラスに置いたところです。

解離していますので,グジュグジュにやわらかくなっています。

そして,根の先だけが濃く染まっています。分裂組織が染まっているのです。

ネギのタネのプレパラートを作ります

染まっている根の先だけ切り出します。ピンセットや針で押さえたら簡単に切れます。

上の部分は不要なので,スライドグラスの隅に追いやっておきます。

その上に,水を垂らします。

カバーグラスをかけてから,爪楊枝で螺旋を描くようにグリグリします。

ある程度広がったら,トントントントントントンと爪楊枝をぶつけます。すると少しずつ細胞がばらけて広がっていきます。

「もう広がらないかなあ」というぐらい広げたら,濾紙に挟みます。

両方の親指をカバーグラスの上に重ね,体重をギュッとかけます。

クルクル,トントン,ギューでプレパラートの完成です。

顕微鏡で観察します

10倍の対物レンズ(黄色のラインがあるもの)で観察します。

ほとんどすべての細胞は間期のものです。丸い核ばかりです。

その丸い核の中に,なんだかちょっと形が違うものを探します。上の写真でも,よーく見ていると,染色体が見えている細胞があります。これが分裂期の細胞です。

核が丸くなくて分裂期の細胞かなあ?と思えるものを見つけたら,視野の真ん中にもってきます。そうしてからレボルバーを回すと40倍の対物レンズ(青色のライン)にすることができます。

観察することのできる細胞

間期

たくさんあるのは間期の細胞たちです。核の中には,染まっていないために白く抜けるように見えている核小体も見えています。

前期(右)と後期(左)が見えています

核がほどけて,紐がみえるようになったときを前期といいます。

指を組み合わせた両手のようなものが見えています。これが中期です。染色体が真ん中に集まったときを真横からみています。

真上からみると,こんなふうに中期は見えます。

両側に染色体が分かれていくときが後期です。

濃く染まった核が2つ並んで見えているのが終期です。

両側に分かれていった染色体が再び丸くなっていっています。

二つの染色体の塊のちょうど真ん中あたりの色が変わって染まっています。細胞質を分けるための新しい細胞壁ができつつあるのです。こうして細胞質の分離も進んでいき,最終的には二つの細胞になります。