コムギとオオムギって,何が違うの?

九州だと身近に栽培されているのがコムギとオオムギです。身近なのにあまり知られていない〈その違い〉に迫ってみました。

授業書《タネと発芽》でのコムギとオオムギ

授業書《タネと発芽》をすると,鳩の餌にはいっているコムギとオオムギのタネの違いを学ぶことができます。

鳩の餌に入っているコムギのタネ
鳩の餌に入っているオオムギのタネ

鳩の餌にはさまざまなタネが入っています。そこから,コムギとオオムギのタネを探しました。

コムギは茶色の粒で,縦に縦筋が入っています。オオムギは白っぽい皮に包まれていて,先細りの形をしています。

タネの形だけでなく,発芽の様子にも違いがあります。

コムギとオオムギの発芽のようす

タネを明るいところで育てると,かなりの確率で発芽してくれます。

鳩の餌に入っているコムギの発芽
鳩の餌に入っているオオムギの発芽

コムギは,根と同じところから芽がでています。対して,オオムギは根とは違う側から芽が出ています。

オオムギの芽は皮の内側を伸びているために違う側から伸びているのです。それでも「発芽から,コムギとオオムギって違うんだ!」と思いました。

そして,「それなら,近くの畑に育っている麦はコムギなんだろうか。それともオオムギなんだろうか。今の私なら区別できるんじゃないかな」と思いました。

《タネと発芽》で鳩の餌の麦をしっかり区別できるようになったのだから,畑の麦も簡単に区別できるだろうと思っていたのですが,そうはいきませんでした。どれも茶色のタネが出てきたため,鳩の餌のタネの知識では区別がつかなかったのです。

農林業総合試験場にいって解決!

『作物学の基礎 I 食用作物』を読んだりしてはいたものの,理解が進まずすっきりしません。そこで,意を決して農林業総合試験場に質問をしに行きました。丁寧に教えていただいたので,麦畑の区別を自信を持ってつけることができるようになりました。

農林業総合試験場での解説と『作物学の基礎』とを合わせて,理解できたことを紹介します。

遠目に麦畑を見分けるには

5月上旬だと,〈青々とした畑〉と〈黄金色に熟した畑〉が並んでいることがあります。このとき,〈青々とした畑〉はコムギの畑で,〈黄金色に熟した畑〉がオオムギの畑です。

どうして断言できるかというと,オオムギのほうがコムギよりも一週間から二週間早く熟すからです。熟す速さということにすら種の違いがあるのですねー。教えてもらって「なーるほど!」と思っていても,見るたびに「ほんとに,ちがうなー」と私は思っちゃいます。

畑でのオオムギとコムギの違い

首が曲がるオオムギ

オオムギは熟してくると穂のすぐ下が曲がってきます。首が曲がるみたいです。

コムギは首が曲がらない

コムギはまだまだ首が曲がりません。まっすぐなままです。

波打つオオムギ

オオムギの畑は首が曲がっているために〈風で波打っている〉ように見えます。しかし,別に風は吹いていません。

奥のコムギはまっすぐ立ったままだからです。風はそれほど吹いていないのです。

穂の形の違い

コムギ,六条オオムギ,二条オオムギの穂

左がコムギの穂で,右二つがオオムギの穂です。

ムギの穂には,細いトゲのようなものがたくさん伸びています。芒(のぎ)というそうです。

「この芒(のぎ)が,たくさんあって長いのがオオムギ」といっていいでしょう。

オオムギの穂であるしるしは,6。

穂を見比べることに慣れていないときの私は,二条オオムギとコムギの区別がつきませんでした。なんだか似ているように思えていたのです。

そして,六条オオムギと二条オオムギは,なぜ両方ともオオムギなのでしょうか。

六条オオムギを真上から見る

六条というのは,「まっすぐに並んだタネの列が6つある」という意味です。

実は,二条オオムギも,六条あるのです。

真ん中の二条は,発達しないタネの列

ただ,二条コムギの場合は,四条ぶんのタネが大きくならないので二条にみえているだけなのです。

オオムギの用途

二条オオムギは,ビールの材料となる「ビール麦」です。一粒一粒のタネが大きく育ってビールによいのだそうです。

六条オオムギは,麦飯に入れる押し麦や,みそ,麦茶の材料だそうです。

ところで,私が「どの畑もコムギのタネばかりだなあ」と思ったのには理由がありました。

オオムギには,皮麦裸麦とよばれるタネをつくる形質があるそうです。

皮麦は,タネを包んでいる皮がくっついているものです。麦茶や押し麦になっているそうです。〈鳩の餌〉に入っているオオムギもこれです。

裸麦は,皮がタネとくっついていないタネです。みその材料となっているそうです。

私が「コムギのタネばかりだなあ」と感じたのは,たまたま裸麦の畑だったのでしょう。

コムギの穂

ジグザグに見える

オオムギは,まっすぐにタネが並んでいました。

これに対し,「コムギには,タネがジグザグになって見える向きがある」というのが特徴です。